動画撮影の基本:社内制作で押さえたい機材・照明・段取り

動画撮影の基本:社内制作で押さえたい機材・照明・段取り

動画は、採用・広報・研修・営業まで、企業のあらゆる場面で使われるようになりました。外注すれば1本あたり相応の費用がかかり、更新のたびにコストがかさみます。一方で、スマートフォンの性能向上により、基本さえ押さえれば社内でも十分に見られる動画がつくれる時代です。本記事では、はじめて動画を内製する方に向けて、機材の選び方・照明の基本・撮影当日の段取りを、順を追って解説します。

なぜ今、動画を社内で内製するのか

動画が届く範囲は、世代を問わず広がり続けています。総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、動画共有サービスの代表であるYouTubeの利用率は、2024年時点で50代までの各世代が8割を超え、60代でも7割以上に達しています。市場も拡大しており、サイバーエージェントの調査では2024年の国内動画広告市場は前年比115.9%の7,249億円、2028年には1兆1,471億円に達すると予測されています。矢野経済研究所も、動画コンテンツビジネス市場が2025年度に6,300億円(前年度比105.3%)へ伸びると見込んでいます。動画は「見てもらえる」前提が整ったメディアだと言えます。

こうした需要に対し、すべてを外注で賄うと、更新のたびに費用と時間がかかります。基本を押さえて内製できれば、更新コストと機動力の両面で優位に立てます。ただし目指すべきは「完璧な1本」ではありません。

動画は一度きりの制作物ではなく、更新し続ける資産です。最初から完璧を狙うより、続けられる仕組みを優先することが、内製を軌道に乗せる近道です。

内製に向くコンテンツ・向かないコンテンツ

内製と外注は、動画の種類で使い分けるのが現実的です。まずは要求水準が過度に高くないものから内製に切り替え、表現力が問われる案件は外注を残す、という線引きが失敗を防ぎます。

最低限そろえたい撮影機材

はじめから高額な機材を一式そろえる必要はありません。投資の優先順位は「音声 > 照明 > カメラ」です。カメラの画質は年々底上げされている一方、音声と光は工夫と少額の投資で大きく改善するからです。

カメラは「今あるスマホ+固定」から

近年のスマートフォンは、社内利用や情報発信であれば十分な画質で撮影できます。まずは手元の端末を三脚やスタンドで固定し、横向き・フルHD以上・30fpsを基本設定にするところから始めましょう。専用カメラは、背景をぼかしたい、暗所で撮る機会が多い、といった明確な理由が出てきてから検討すれば十分です。

音声こそ最優先で投資する

見落とされがちですが、内製で最初に投資すべきは音声です。スマートフォンやカメラの内蔵マイクは、話者から離れると環境音を大きく拾い、聞き取りにくくなります。インタビューや解説なら襟元につけるピンマイク(ラベリアマイク)、離れた場所からの収録ならガンマイクを足すだけで、印象は大きく変わります。

映像の粗さは意外と許容されても、聞き取れない音声は離脱に直結する。音を制する者が動画を制する、といっても過言ではありません。

照明と構図の基本

同じ場所・同じ機材でも、光と構図を整えるだけで仕上がりは見違えます。特別な機材がなくても、原則を知っていれば窓からの自然光でも十分に対応できます。

光は「量」より「方向」

明るくすればよいわけではなく、大切なのは光の方向です。基本は「三点照明」で、被写体を主に照らすキーライト、影を和らげるフィルライト、輪郭を際立たせて背景から浮かせるバックライトの3灯で構成します。1灯しかない場合でも、被写体の斜め前から当て、反対側に白い板やレフ板で光を返すと、のっぺりした印象を避けられます。逆光(窓を背にした撮影)は顔が暗くなるため避けましょう。

構図は三分割法とカメラの高さ

構図は「三分割法」を基本にします。画面を縦横3分割し、その線や交点に被写体や目線を置くと、安定して見やすい画になります。人物を撮るときはカメラを目の高さ(アイレベル)に合わせると自然で、見下ろす・見上げる角度は与える印象が変わるため意図して使い分けます。加えて、三脚で固定するか、歩きながら撮るならジンバルを使い、手ブレを抑えることも見やすさを大きく左右します。

撮影当日までの段取り

仕上がりの多くは、撮影前の段取りで決まります。当日に「何をどう撮るか」が固まっていないと、撮り直しや素材不足が起き、編集で苦労します。次の手順で準備を進めましょう。

  1. 企画:誰に何を伝える動画かを1〜2文で言語化し、長さの目安を決める
  2. 構成・絵コンテ:話す内容や見せる画面を、簡単な絵と文字で並べて流れを可視化する
  3. ショットリスト:必要なカットを一覧化する(画角・場所・登場人物・想定尺)
  4. ロケハンと準備:撮影場所の明るさ・音・電源・背景を事前に確認し、機材を充電・整理する
  5. 撮影:本番カットに加え、つなぎに使える予備カット(インサート)も多めに撮る

ショットリストが撮り直しを防ぐ

特に効果が大きいのがショットリストです。撮るべきカットを事前に洗い出しておけば、当日の撮り漏れが減り、編集段階で「あの画が足りない」と気づく事態を防げます。出演者や協力してくれる社員の時間を無駄にしないためにも、リスト化は欠かせません。

撮って終わりにしない:運用の設計

動画は1本つくって終わりにせず、シリーズ化や使い回しを前提に設計すると効果が高まります。撮影した素材は保管ルールを決めて整理し、採用ページ・オウンドメディア・社内報・SNSなど複数のチャネルで活用します。公開後は視聴データを見て、次の企画に反映する改善サイクルを回しましょう。誰が企画し、誰が撮り、誰が編集・公開するのかという体制まで含めて考えることが、内製を継続させる鍵になります。

この記事のまとめ

  • 動画需要は世代を問わず拡大しており、内製できれば更新コストと機動力の両面で優位に立てる
  • 機材投資の優先順位は「音声 > 照明 > カメラ」。まずは手持ちのスマホに外部マイクと三脚を足す
  • 照明は光の方向(三点照明)、構図は三分割法とカメラの高さを意識するだけで仕上がりが変わる
  • 仕上がりの多くは撮影前の段取り(絵コンテ・ショットリスト)で決まる。続けられる運用設計まで含めて考える

よくある質問

社内で動画を内製するのに、最初にいくらくらい必要ですか?

高額な機材は不要です。多くの場合、手持ちのスマートフォンに外部マイクと三脚を足すところから始められます。投資の優先順位は音声・照明・カメラの順で、必要に応じて段階的に買い足すのが現実的です。

スマートフォンでの撮影でも十分な品質になりますか?

採用・研修・商品説明といった社内利用や情報発信の多くは、スマートフォンでも十分に見られる品質になります。ポイントは、明るさと光の方向を整えることと、外部マイクで音声を確保することです。CM級のブランド映像など表現の要求が高いものは外注も検討します。

動画制作でいちばん失敗しやすいのはどこですか?

音声と段取りです。映像がきれいでも音が聞き取りにくいと視聴者は離れやすく、当日に段取りが決まっていないと撮り直しや素材不足が起こります。外部マイクの用意と、事前のショットリスト作成で多くは防げます。

動画は一度きりの制作物ではなく、採用・広報・研修を支える資産です。ノアブリッジでは、コンテンツ制作の企画から運用体制づくりまでを支援しています。社内での動画内製を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

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参考文献

  1. 総務省「令和7年版 情報通信白書」動画共有・配信サービス
  2. サイバーエージェント「2024年国内動画広告の市場調査」
  3. 矢野経済研究所「動画コンテンツビジネスに関する調査(2025年)」
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